努力。1



、電話!!!!」

2階の自分の部屋にいたあたしの元へそう言いながら、

お母さんが、コードレスホンを持って来る。

「誰ぇ〜〜〜?」

マンガ本を読みながら、あたしはうざったいオーラをだしながら、問いかける。

「山下さんって・・・男の人だけど?」

「えっ///?!」

ベッドに転がって見てたマンガ本を投げ出して、慌てて起き上がるあたし。

携帯の番号教えたのにっ

なんでわざわざ家の電話にっっっ(>_<)///

お母さんから、コードレスホンを取り上げるように電話を受け取ったあたしは、すぐに部屋のドアを閉める。

深呼吸を3回。

そして・・・

なんとなく、部屋の隅に置いてある姿見に、自分を映しながら、

落ち着いた口調で・・・いや、落ち着いた口調を装って電話に出た。

「もしもし、お電話かわりました」

普段は、こんな言葉遣いしないけど・・・

やっぱり相手が相手だと、あたしの態度も違う。

「あ、?俺、山下ですけど。」

「あ、はいっ」

「何、よそ行きの声出してんだよー(笑)」

「べっ、別によそ行きの声なんてっ」

「あ、いつもの声に戻った(笑)」

「もぉっ、なんで携帯に電話してこないのっ?ビックリしたじゃんっ」

「あ、俺、今、家だから。家にいるときは、家電(いえでん)使わないとね。携帯もったいないじゃん?

 家の電話は親が払ってくれっけど、携帯は自分の金だから。」

しっかりしてんなぁ・・・(-_-;)てか、この場合、ちゃっかり・・・か・・・。

「じゃー、家の電話からでも携帯にかけてくれればよかったじゃん・・・。」

「てか、うちの親うるさいんだよねー、家電から、携帯にかけんな、とか言っちゃって。

 ・・・て、そんな事より、明日なんだけど、俺の友達も一緒に連れてってもいい?」

「え?」

「なんかさ、明日、買い物行くって言ったら、一緒に行きたいって奴がいて。

 あ、でも、一応もう断ってるんだけどね。

 もし、がOKなら、改めて誘おうかと思って。」

「あ、うん・・・でも、誰・・・?友達って・・・」

「あ、うん、斗真の彼女。」

「え・・・女・・・の人・・・?」

「うん。」

「・・・」

「ダメ?・・・つーか、初対面でいきなり、一緒に買い物とかはちょっとうざいか^^;」

「あ、ううん、大丈夫!!斗真くんの彼女なんだよね?

 あたしがダメって言う権利なんてないし。」

「じゃー、明日。

 時間と待ち合わせの場所は、この前言ってたとこで大丈夫?」

「大丈夫っ」

「そ。じゃ、明日。

 今日はしっかり寝んだよ。」

「うん、わかった・・・」

「じゃね。おやすみ。」

「おやすみなさい。」

電話を切って・・・

しばらく、呆然とする・・・。

明日・・・

二人きりでのデートじゃないのかぁ・・・。


とは言っても、実はあたしと、智久は、別に付き合ってるわけじゃありません・・・・・。

今は・・・完全に・・・片想いって感じ。

先日、ちょっとした事がきっかけで仲良くなって・・・

それ以来、時々だけど、こうして一緒に出かけたりする・・・。

智久は・・・あたしのこの気持ちには気付いてないのかなぁ・・・

仮に気付いてたとしても・・・

彼の日頃の態度を見る限り・・・あたしは、智久にとっては、せいぜい『かわいー妹』ってとこ・・・。



本当は・・・

明日は、二人でお出かけするはずだったのになぁ・・・・。


そうは思いつつも・・・

でも・・・もう大丈夫って言っちゃったし・・・。


ベッドの中で、智久への不満とかいろいろ考えてみたりしてるうちに・・・

気付いたら寝てしまっていた・・・・。


「あーーーっもぉ、ヤバイヤバイやバイっっっもぉっっ、お母さんなんで起こしてくれないのよーーー(>_<)」

「なんで?今日はバイトも部活も休みだって言ってたじゃない。」

バタバタしてるあたしにお母さんは

『朝ごはんくらい落ち着いて食べて行きなさい!!』

なんて怒鳴ってたけど・・・

それどころじゃないって。

あたしはとりあえず、財布と携帯をバッグに詰め込むと、そのまま家を飛び出した。


もぉ〜〜〜っ、本当はゆっくりシャワーくらい浴びて来たかったのにーーーー(>_<)

駅までダッシュ・・・。

待ち合わせの時間まであと30分・・・。

間に合うかなぁ・・・

駅まで全力疾走で、5分。

駅から電車乗って15分。

電車降りてから、待ち合わせ場所まで、歩いて15分くらいだから・・・

走ったら、10分で着くかなぁ・・・

ギリギリだなぁ・・・(ーー;)


予定通り、家から5分で最寄駅に到着。

急いで切符を買う。

目的地までいくらかなんて運賃表見てる余裕もなくて、とりあえず、初乗り130円分の切符を買う。

改札通り抜けて、更にホームにダッシュ。

あの駅は降りてから改札出るまでに階段があるから・・・

・・・確か、階段って、ホームの端の方だよねぇ・・・。

電車を降りてから少しでも早く改札を出たかったあたしは、ホームの一番奥までまたまたダッシュ。

時刻表、時刻表っ・・・

途中で時刻表を見つけて自分の携帯の時間と時刻表を見比べる。

「はぁ?!」

・・・周囲の人の存在なんて気にしていられなかった・・・。

時刻表を見る限り・・・

電車がこの駅に到着するのは、10分後・・・。

つまり・・・

10分後に電車に乗り込み・・・

それから、15分間電車に乗り・・・

向こうの駅についた時点で、待ち合わせ時間ジャスト・・・

瞬間移動でもしない限り・・・

間に合わない・・・・・。

「しゃーない・・・智久にメールでもしとくか・・・。」

あたしは電車を待っている10分の時間を有効に使おうと、智久にメールを打ち始めた。




それから、10分後、時間通りに電車は現れ・・・

あたしは、予定通りに、電車に乗り込んだ。

そして・・・

駅に到着。

しかし・・・なぜか、あらかじめメールをしているのに、それに対する安心感は全くなく・・・

あたしは尚も急いで、改札を通り抜けた・・・

はずだった・・・

ピーーンポーーーン・・・

「えっ・・・?!」

自動改札を通り抜けようとすると、遮断機の如く通行止めをくらい、

入れたはずの切符が出戻ってきていた。

「なんでぇ・・・?!」

よぉ〜〜〜く考えたら・・・

「・・・あ、そか、初乗り分の切符買ったんだったっ」

それからまた慌てて、今度は自動精算機へ・・・。


・・・結局・・・かなりバタバタしてようやく智久との待ち合わせ場所が目に見えてきたとき・・・

「・・・っ」

あたしは、突然速めていた足を止めた。



目的地は・・・もうすぐそこだ・・・・。

ここまであんだけ急いで・・・

走って来たのに・・・

なぜか・・・足はそれ以上一歩たりとも進もうとしなかった・・・・。

早く行かなきゃ・・・ていう心の焦りは・・・

もう既にどこかに行ってしまっていた・・・。


目の前には・・・

智久と・・・

そして・・・

背の高い・・・スタイルのいい・・・

スーツ姿の・・・大人の女の人・・・

恐らく・・・

斗真くんの彼女・・・なんだと思う・・・。


しばらく、そんな二人の姿に見とれていたら・・・


RRR・・・

「きゃっ(>_<)」

いきなり右手の中の携帯が振動して、あたしは驚いた。

着信画面には、しっかりと「智久の携帯」の文字。

とっさに、目の前のお店の店頭に飾ってある大きなオブジェに身を潜める。

「もっ、もしもしっっっ」

あまりにも、智久たちとの距離が近かったために、あたしは必要以上に慌ててしまった。

「今どこー?」

携帯からと・・・

実際、目の前から、智久の声が二重になって聞こえるほどの距離にいたことに改めて気付かされる。

「あ、えっと・・・今・・・ごめん、目の前・・・」

そう言って、あたしは姿を現した。

「何してんだよ(笑)」

「あ、うん、ごめん、ちょっと・・・かくれんぼを・・・」

「はぃ(笑)?」

「あ、いえ・・・」

俯いたあたしの視界に、きれいなハイヒールが映った・・・

「こんにちわ。はじめまして、ちゃん。」

「こんにちわ・・・」

斗真くんの彼女・・・。



背の高い・・・スタイルのいい・・・

スーツ姿の・・・大人の女の人・・・


片やあたしはと言うと・・・

背だって、小さい・・・153センチから伸びないし・・・

スタイルだって悪い・・・

既に成長止まったんじゃないかってくらい、胸も小さい・・・

そして・・・服装は・・・

一応下はミニスカートだけど・・・

上はパーカーで・・・

靴は・・・スニーカー・・・・・・・。


斗真くんて・・・

確か智久と一歳しか違わないはず・・・

なのに・・・

こんな大人の人と付き合ってるの・・・?



「じゃ、早速だけど、行くかね。」

智久がそう言うと、『ごめんね、本当に。』なんて言いながら、斗真くんの彼女が苦笑いして・・・

それに対して、智久も「別に。今日何処に行くとか何も決まってなかったし」て笑いながら答える・・・。

確かに・・・どこに行くとか決まってなかったけど・・・

でも・・・


あたしは、斗真くんの彼女と、智久の後ろ姿を見つめながら歩く。

なんだか・・・つまんないなぁ・・・

ついつい、下を向いて歩いてしまう・・・

ふと・・・

細くてすらっと伸びた彼女の足に目が留まる・・・

ストッキングなんて・・・

なんかちょっと抵抗があって、生足で勝負できなくなったおばちゃんたちが履くものとばかり思っていた・・・

だけど・・・。




それに・・・いつも見てる智久とは違う気がした・・・。

・・・男の人って・・・

そばに大人の女の人がいるだけで・・・

こんなにも違って見えちゃうもんなんだ・・・・・・・・・。



「今日はありがとー。おかげで、これも買えたし、本当にありがとね。

 今度、ご飯でもおごらせてね。」

「斗真によろしくー」

・・・なんだか・・・

二人の会話が、大人の世界の契約に聞こえたりして・・・・・

あたしは・・・何も口を挟む暇がないほどに、それはテンポよく行われていて・・・

気付いた時には・・・

「どした?疲れた?」

智久と二人になっていた・・・・。

「疲れてないよ。だって、今日何もしてないもん。」


・・・今日は・・・

斗真くんの彼女が、斗真くんへのプレゼントを買いに行くからって事で・・・

いつも斗真くんと仲良くしてる智久をその相談相手に選んだらしい・・・。


「これからどうする?メシでも食っていく?」

「ううん、今日は帰る。」

「あ、そ。じゃ、送るわ。」


・・・あっさりと、受け入れられるあたしの言葉・・・

あたしが・・・

もっともっと魅力的だったら・・・

智久は、引き止めてくれるのかなぁ・・・・・・・

あたしが・・・

もっともっと智久の好みの女の子だったら・・・・・


智久は好きになってくれるのかなぁ・・・・・・・・・・・・


あたしが・・・

もっともっと・・・

斗真くんの彼女みたいだったら・・・・・・・・


こういうの・・・

ないものねだりって・・・言うんだろうか・・・・・・。

三歳の年の差・・・って・・・でかい・・・・・・・・・・。


「じゃ、また暇出来たらメールすんね。」

最寄駅まで来て・・・

智久は、なんのためらいもなく、あたしに背を向けた・・・。


やっぱり・・・智久にとって、あたしはただの妹・・・なんだろうか・・・・・・・・。


よし・・・

もっともっと・・・

もっともっと・・・魅力的な女の子になろう!!!!!!!!!

ガキンチョだなんて思われたくないっっっっ

あたしだって・・・

あたしだって、女なんだよって事・・・

智久に気付いてもらいたい・・・・。


「ストッキングでもはいてみるかね・・・」

ボソっと呟きながら・・・

あたしは、家の門をくぐった・・・・・。




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